忙しなく歩く人々の群れを横目で通り過ぎながら、僕はただひたすら走っていた。
僕の目の前を行く君を追いかけて
君の後ろ姿だけをいつも見てきた
君は時々立ち止まるのに、それでも僕は君に追い付けなかった
でもある日、君は歩むことをやめたね。
あの日を境に、君は永遠にその場で立ち止まってしまった。
君の横顔は、微笑みながらもどこか儚げで、哀しい目をしていた。
「やっと見つけてくれたのね」
君の涙に触れた時、僕は一瞬にして
君の心に溶けてしまったよ
甘美に誘惑する君の心の中は
それはそれは艶かしく、温かく
このまま目を瞑れば、二度と目を開くことはない
君の心の籠に捕われ、息絶えるならば、それほどの幸せはあるだろうか。
君を追いかけたことに後悔はないんだ
星が眠れば、君を照らす光となり、
太陽が眠れば、君を包み込む光になる
この僕の全ての愛を君に捧げるよ
君の愛が、例え己を滅ぼす悪魔に変わったとしても、僕は君を追いかけ続ける
声が届いても、決して触れることはできない
もし僕が先に死んでしまった時は
溶けてしまった僕の心と君の涙を1つにして
君を追いかけた僕の心は、
いつまでも君のものだから
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結局あいつも馬鹿だった
私は悪い女だと、
沈みゆく夕日に背を向け歩く。
ほのかに染み付いた思い出せない誰かの残り香を感じ、私はまた走り続ける。
この世の掟は
昔からさほども変わらない
騙された方が悪い、信じた方が悪い
愛の先に生まれるものは、破滅か創造か
その中間にあるものこそ、きっと私が求めているものなのかもしれない