終わらない侵略

私もあなたもこんなことをしている場合ではない。

貴方へ

拝啓、貴方様

 

 

暑中お見舞い申し上げます。

長かった梅雨も明け、いよいよ夏本番ですね。

連日の酷暑で、寝苦しい夜が続きますが、貴方様はいかがお過ごしでしょうか。

 

青空の下で真っ直ぐに佇む向日葵や、急な雷雨の後に広がる大きな虹、どこまでも広がる入道雲と青空のコントラスト、キラキラと輝くプールの光。

 

外を見渡せば、夏らしさを肌身で感じられる今日この頃、私は貴方を想って手紙を書いております。

 

さて、ここから書きますことは、私の心の中にある、貴方に対する嘘偽りのない気持ちです。

 

もし、私への気持ちがもう一欠片もないのであれば、この手紙はここで見るのをおやめになってください。

 

跡形もなく燃やしてください。

 

 

私への気持ちがほんの少しでもあるならば、どうぞ最後までお読みになってください。

 

 

 

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お元気ですか。

 

あなたと最後に会った日から、どれだけの月日が経ったでしょう。

 

お変わりなく過ごしているでしょうか。

 

季節は流れ、いつの間にかもう夏ですね。

この暑さであなたが体調を崩していないかと、時折心配しています。

 

あなたはよく風邪を引いていました。

頻繁に風邪をひくあなたを見ては、私の体と代わってあげられないものかと思ったものです。

 

 

あなたと出会えたことは、私の短い人生の中で、1番の幸福な出来事だったと思います。

 

あなたと出会ったのは運命だったのか、偶然だったのか、それは今でも分かりません。

 

しかし、運命は必然と言うように、あなたと出会えたのは然るべきものだったのだと、今は思います。

 

 

あの時の私に、教えてあげたい。

 

私を救ってくれる人が、もうじきに現れるよ と。

 

あなたにとって、私の存在がどれくらいの大きさだったのかは分かりませんが、

私にとってのあなたは、紛れもなく1番大きな存在で、私の心は、常にあなたに奪われていました。

 

心からあなたを愛していました。

 

あなたしか見えていなかった。

 

 

きっと、私はあなたに魔法をかけられたのだと思います。

 

 

あなたから教えてもらったこと、あなたが私に与えてくれたもの、あなたからの愛、例えそれが偽りの愛だったのだとしても、全てが私の中で美しくて温かい宝物です。

 

私があなたを愛したこの気持ちは本物です。

 

 

いつかこの気持ちはきっと消えてなくなってしまうのか、わからないですが、

 

あなたの幸せを私はいつも願っています。

 

 

 

いつかこの手紙があなたの元に届くならば、

あなたは一滴の涙をこの紙の上に零すでしょう。

 

滲んだ文字を見つめながら、その時は私を思い出してください。

 

あなたの中にいる私が、完全に消えた時は、私とあなたの今生の別れです。

 

 

それでは。

最後までお読みになってくださり、ありがとうございます。

 

 

夏の暑さに負けぬよう、ご自愛くださいませ。

これからも貴方様のご活躍をお祈りしております。

 

 

心からの敬意と感謝を込めて